この経営ブログについて

ピープルビジネススクール創設者の林俊範先生は、1971年に創業した日本マクドナルドの仕組みをゼロから構築された方だ。当時、アメリカ・マクドナルド創業者、レイ・クロックに接してピープルビジネスを知ったという。

藤田田社長の下で15年間かけて、日本マクドナルドでオペレーションシステムを構築された後、退職されて中小企業に仕組みを教えられていた。僕は幸運にも林先生に出会い、仕組みのイロハを教わる機会に恵まれた。

林先生の教えは、一般的な日本型経営の考え方とは真逆のことも多かったが、脱サラして経営を全く知らずに起業した僕にはとても新鮮だった。学ぶことが楽しかった。

成功はせずとも、今まで何とか会社がつぶれずに生き残れたのも林先生のおかげだと感謝は尽きない。林先生の教える仕組みは決して楽に実行できるものではなかったが、なぜかピープルビジネスに惹かれて続けることができた。

マクドナルドで林先生が学ばれたピープルビジネスとは一体何だったのか。

「マクドナルドはピープルビジネス」と断言したレイ・クロックの考え方とは何か。

1991年に「飲食店経営(商業界)」に連載された「人事評価システムの作り方」の最終章は参考になる。(全文記載)

 

人の能力とは何か?

「最後の最後になるが、『人の能力とは何か?』ということを本当に良く知り、実践し、成功の歴史を築きあげた日本マクドナルドに学ぶべき点は非常に多い。あのパート・アルバイトの人財化を、20年前から当たり前のように実践してきた事実。

マクドナルドに高質人財が多数入社してきたわけではない。どんな人財であっても、年齢・学歴・新卒・中途の別に関わり無く、平等で公平な評価を与え、個人の潜在的な能力を引き出してきたのである。

仕事の上で人間の過去などはいっさい関係ない。誰でも平等なチャンスが与えられる。逆にいうと、マクドナルドに入ったら退職するまで、成長・挑戦し続けなければならない仕組みになっているのである。

なぜマクドナルドがそういうことを実現できるのかというと、その秘密の一つが評価基準である。マクドナルドでは心構え、意欲、やる気、協調性、積極性などという『アイマイ』な評価項目はない。評価項目となっているのは、ピープルスキルと職務遂行能力だけである。

とくにピープルスキルの中でも、コミュニケーション・モティベーション・カウンセリング能力が、その人の成長を決めるといっても過言ではない。それがビジネスの成功の究極の自己実現なのである。

職務遂行能力というのは、チェーンオペレーションの知識と技術+ピープルマネージメントの両方が要求される。会社が実際に評価したいのは、結果である。すなわち、成績である。いくら高いコントロール能力をもっていたとしても、成績が上がらなければ、それは無能に等しい。売上も利益も取れない人財(店長・SV)が会社に存在しても全く意味がない。

この人事評価システムが本当に導入され、動き始めたならば、必ず売上・利益は拡大され、高質人財が事業拡大の糸口を開いていくはずである。

最後に、この一年間愛読していただいた読者の皆様にぜひ送りたい言葉がある。

『ビジネスの成功は、数字の上に成り立つのではなく人々の上に成り立つ』

これこそが『企業は人なり』の大原則である。

一年間、ありがとうございました。」

 

時代がよかったからだろうか、残念ながら林先生の連載に読者の反響はなかったらしい。出版社からは「林先生の内容は難しすぎます」とも言われたそうだ。

でも、30年たった今、改めて読み返してみても全く古さは感じない。むしろ新鮮で学びは多い。いや、今だからこそ価値があるのではないかと感じる。

ピープルビジネスは、レイ・クロックの「UP TO YOU(チャンスはあなた次第!)」の言葉に集約される。実際、アメリカのマクドナルドは、学歴、国籍、性別も関係なく、すべての人に平等にチャンスが与えられて、今も全世界で繁栄を続けている。

でも、それは大企業だからではない。一店舗一店舗の人財を育てるスモールビジネスの仕組みがあるからだと林先生は言われていた。アメリカに来た移民がマクドナルドのアルバイトとなり、店長や経営幹部になったエピソードなどを聞くと、不思議と私にも勇気が出てきた。

ピープルビジネスの学びには終わりがなく、今も修行中の身ではあるが、林先生に教わったことや僕の失敗経験が誰かの参考になれば嬉しい。

「本当のことに出会うことによって、私に生きる力が沸いてくる」林 俊範

ピープル・ビジネス・スクール 中園 徹