パートさん活用で人件費ダウンと売上アップを同時に実現。社員さんはノー残業に

パート・アルバイト活用のメリットは計り知れない。人件費が下がるだけでなく、同時に売上を増大させることができる。私はそのからくりを日本マクドナルドの仕組みを作られた林俊範先生から教えていただいた。

ここでいう人件費ダウンとは、社員より賃金の安いパートさんを活用することではない。無駄な余剰人員の人件費をなくすという意味である。

売れる時間帯に適正人員で徹底的に売りつくし、逆にヒマな時間帯は必要最低限の人員体制でムダをなくすことを指す。

どんなビジネスでも、一日の中でピークとスローがあるように、年間通しても繁忙期と閑散期がある。最も売れる時期に、十分な人員があれば売上を伸ばすことができる。しかも、ヒマな時間は、小さな売上に応じた人員でムダをなくす。正確に言えば「売上を上げて、人件費率を下げる」ことになる。

マクドナルド創業者レイ・クロックがこだわったのは「ピークを獲る」という考え方であった。パート・アルバイトを戦力化し、売れる時に徹底的に売りつくす戦略である。マクドナルドのようなスモールビジネスでは、フルタイムを雇っていたのでは利益が出ない。そこでレイ・クロックは、パート・アルバイト戦力化の仕組み作りを追求した。

レイ・クロックの考え方は、現代のビジネスにこそ必要だろう。多くの日本型経営はフルタイム中心、正社員主義の経営である。だから、ピーク時に売上が取れない上に、逆に人件費は高騰していく。不況時にはリストラせざるを得ない。

フルタイムに代わってパート・アルバイトを戦力化すれば、人件費は大きく下がる。たとえば、年収400万円の社員の時給は約1,900円。残業したら時給2,400円だ。社員の1時間分で、時給1,000円のパートさんを2人を雇用できる。人員を増やして、人件費を下げることも可能となる。

恩恵はまだある。正社員の長時間労働やサービス残業がなくなるため、社員が元気になる。離職が減って、定着率はグンとあがる。社員さんも幸せになる。

正社員の仕事でも、本当に社員でなければならない仕事は、調べてみると2割程度であることが多い。十分パートさんに任せることができる。

パートさんの力を借りれば、人件費ダウンと売上アップを同時に実現できるのだ。社員さんも、普段口には出さない念願のノー残業の職場が実現する。社員の幸せのためにも必要なのが、パートさんのすばらしい力である。

 中園 徹