経営危機の個人店から生まれたマクドナルド

私はチェーン店と個人店のあり方は元々違うものだと思っていた。しかし、それは思い込みだった。マクドナルドの発祥を知って意外なことがわかった。

マクドナルドの創業者はレイ・クロックだと言われているが、1号店を作ったのはクロックではない。ディックとモリスという2人の兄弟。すなわちマクドナルド兄弟である。

彼らは2人で個人店のレストランを経営していた。割と繁盛していたが、次第に近隣の競合店も増えていき不安を感じていた。おまけに従業員の離職や人材不足にも悩むようになっていた。

「店もこのままいけば、いずれ頭打ちが来るだろう」誰もがもつ個人店の危機感を兄弟も同じように持っていたのだ。

だが、兄弟は普通の個人店主とは違っていた。何と彼らは、まだ繁盛している店を3ヶ月も閉めて抜本的な経営改革に乗り出したのだ。

彼らの思い切った経営改革は成功した。兄弟の店は行列のできるハンバーガーショップとして生まれ変わった。

マクドナルド兄弟が行なったことは個人店の変革による大繁盛店作りである。世界的なチェーン店、マクドナルドが生まれたきっかけは、個人店の経営危機だったのだ。

私はこの事実を知って「もしかしたら、僕の店も同じように改革できるかもしれない」と思った。

自分お店を持てば、誰もが長期的に安定した経営を望むことは間違いない。しかし、安定の中から変革は生まれない。

一見、逃げたくなるような経営危機が、結果として成功の要因を生むきっかけとなったわけだ。繁盛店作りは順調な中から生み出されるのではなく、困難を克服することで得られるのだと教えられた。

 中園 徹