言葉を信じてはいけない

人財育成で大切なこと。林先生は常々言われた。「言葉を信じちゃいけないよ」と。

部下を育てるには、まずその人を信じることではないだろうか。それなのに言葉を信じてはいけないと先生から言われた。

確かに言葉を信じて失敗したことは多々ある。

レベルの低い話しだが、遅刻を繰り返す男性スタッフがいた。彼が遅刻するたびに現場の開店業務が混乱する。

当然、私は「なんで遅刻するんだ!」と叱る。言い訳も様々だ。「体調が悪くトイレから出られなかった」「電車が遅れた」等々。

さらに涙を浮かべて誰にもまねできないような猛反省の態度を見せる。

そこで彼は言う「もう、絶対に遅刻はしません。今回、皆に迷惑をかけてしまったことで目が覚めました。これからは生まれ変わった気持ちで仕事に励みます。」

ここまで聞けば「もう大丈夫だろう。これだけ反省しているのだから」と思う。確かにしばらくは元気よく出勤してくる。だが忘れた頃に再び遅刻が起きる。これを何年も繰り返しとことがあった。

遅刻に限らずケースは様々だが、皆すばらしい反省の弁を述べる。その言葉を信じて次に期待する。そして同じ失敗を繰り返す。これらの問題は全て言葉を信じることで起きている。

じゃあ一体何を信じればいいのか?

林先生は言われた「言葉でなく行動を見なさい」と。

反省は心がけを聞くのではなく、どのように行動修正できるのかを見ることが大切だという。

たとえば遅刻の場合、始業は8時なのに本人が自主的に7時30分までに必ず出勤すると宣言したとする。それが7時38分の出勤だったら、遅刻ではないが約束は守られなかったことになる。逆に、7時30分までの出勤を守り続けることができたら、彼の反省は本物だったことがわかる。

実際に自ら宣言した約束を守り続け、人間が変わったように成長を遂げる人も少なくない。

その人が自ら宣言したことを本当に守れるかどうか。その行動を見れば真意がわかる。特に日本人は言葉を信じる傾向があるので気をつけた方がいいと林先生から言われた。

人財の育成において大切なのは言葉ではなく、その人の行動を見ることだと教えられた。

Point 「言葉ではなく行動を見る」

 中園 徹