迷った時は誰に聞くべきか

「経営は一冊の問題集」は林先生がよく言われた言葉だ。経営には正解がない。

日々迷うことばかり。一体、誰に相談すればいいのだろうか。

やっぱり、人生経験豊かな人、業界の先輩、同業者、親しい友人などが相談相手になることが多いだろう。

特に大きな決断を迫られた時は、誰に相談するかで結果は大きく違ってくる。この相談相手の選び方には2つのパターンがある。

1つ目のパターンは、自分の周囲にいる信頼できる人。前出の先輩や、同業者、友人などである。

2つ目のパターンは、実際に自分がやろうとしていることの経験者。およびその分野のプロフェッショナル。

20年前、私が郷里・福岡を離れて大阪での開業を考えた時は色んな人に相談した。1つ目のパターンの相談相手の答えはほぼ全員が否定的だった。「やめたほうがいい」「リスクがある」等々。

唯一、多くの開業を手掛けていた親しい医療機器の社長さんだけが賛成してくれた。「リスクはあるが、チャンスもある。」とのアドバイスだった。

結果として私は、見知らぬ土地の大阪で開業した。その決断は正しかったと思っているし、アドバイスを下さった社長さんには今も感謝している。

もし、私が1つ目のパターンの人にしか相談しなかったら、大阪での開業は断念していたかもしれない。

今、様々なことにチャレンジする人に会う機会が増えた。中にはチャレンジを断念する人もいれば、果敢にチャレンジする人もいる。

その違いを見て気付いたことがある。チャレンジを断念、もしくは先延ばしにする人は決まって、実際にやったことのない人に相談している。

なぜか、やったことのない人に相談する人はとても多い。無意識に安心感や共感を求めているのかもしれない。ただ、そこから得られる情報は全て意見や推論になる。

逆に果敢にチャレンジする人の多くは、実際にやったことのある人に相談している。

当然、答えも気持ちのよいものばかりではない。ただ、伴うリスクや困難もリアルに情報収集できる。そこから得られる大きな可能性も知ることができる。

林先生は失敗を恐れずチャレンジすることの大切さをいつも力説されていた。

「Go for it! (やってみなはれ!)」と。

誰でもチャレンジは迷う。しかし、その時に相談すべきはチャレンジした人。やったことのある人に相談した方がいい。

推論はいくら聞いても推論だが、経験に基づく答えは事実である。

Point 「迷ったら、やったことのある人に聞く」

 中園 徹