「利益のピラミッド経営法」用語集

「利益のピラミッド経営法」やピープルビジネスには独特の用語や考え方が多くある。林俊範先生からは、言葉一つ一つの意味が非常に重要であることを学んだ。ビジネス用語においても、一般的な概念とピープルビジネスでの捉え方には、大きな違いがあることも少なくない。

現場で日本語の会話はできていても、言葉の捉え方に違いがあることで、コミュニケーションギャップや生産性の低下が起きることを何度も経験した。逆にマクドナルドに専門用語が多数あるように、独特の「共通言語」の意味を各人が理解することで、現場のマネジメントや人財育成が円滑に進むことも学んだ。

しかし、林先生のテキストには、用語の解説はあまり記載されていない。セミナーの際に質問しても「大事なことは自分で調べるんですよ」と言われることが多かった。ここでは、林先生のマニュアルにある用語や、直接教えてもらった言葉の意味を振り返る。教えから20年以上経って気付くこともあるので都度書き足していきたい。

ここにある用語や言葉は、林先生がアメリカ・マクドナルドの仕組みや創業者レイ・クロックの考え方をベースとして、自ら編纂し体系化されたものとなる。仕組みの全体像を表したものが「繁栄実現の経営の法則 」となる。

【ア 行】

アピアランス(Appearance):ビジネスにおける「身だしなみ」を指す。創業者レイ・クロックが人財育成において最もこだわった指標の一つ。パート・アルバイトの勤務評価基準におけるアピアランスは以下となる。「① 適切なユニフォーム  ② みだしなみ ③ 名札をいつもつけている  ④ 清潔さ(爪・髪・髭など) ⑤ クセ ⑥ 職場ルールの基準を守っている。」単なる身だしなみではなく、立ち姿を表すこともある。人財を見極める重要な指標。アピアランスに基準以下の点があれば現場に立つことはできない。
*「ハウスルールブック・店舗諸規則(アピアランス)」PDF

 

アップトゥユー(Up to you):「チャンスはあなた次第!」という意味。ピープルビジネスの仕組みを象徴する言葉。新たな仕事やランクアップに臨む際に、チャレンジする選択権を本人に委ねる時などに使う言葉。仕組みでは、本人の同意なしにいきなり辞令を出すことはない。必ず、本人にチャレンジする意思を尋ねて同意を得る。断る場合は無理に説得しない。「『できません』という人に仕事を与えてはいけない」という原則がある。すべては「あなた次第」となる。林先生からは「やりますか?やりませんか?」「できますか?できませんか?」という聞き方をよくされた。

 

アファーマティブアクション(Affirmative Action):一般的には、性別や人種等の理由で差別を受けている人たちを救う取り組みを指す。仕組みでは「女性労働力の活用」「女性のレーバーマーケット(労働市場)の掘り起こし」を指す。アメリカ・マクドナルドではスーパーバイザーの7割が女性だと林先生は言われていた。「マネジメントにおいて女性は、非常に高い能力を持っています。しかし日本には、女性を活用できる男性はいない」とも断言されていた。藤田田氏でも日本マクドナルドにおける女性活用は難しかったとのこと。
*SVの率先事項「アファーマティブアクション」PDF
*SⅤの率先事項「アファマティブアクション②」PDF
*<店長のための練習問題>5.「女性の能力開発」PDF

 

イヤリータイムアクション(YEARLY TIME ACTION PLANNING):年間計画。10月ごろに次年度一年分のルーティンとなる勤務評価や定型会議、イベント、マーケティング活動、出店計画などをシートを使って計画する。

「YEARLY TIME ACTION PLANNING」2023年度年間スケジュールPDF
*「2023年度 年間スケジュール:介護イベント&サービス カレンダー」記入事例PDF

 

ウィークリーセールスレポート(Weekly sales report):週単位で作成する売上レポート。計画値と実績値、昨年対比から、問題点と原因と対策を策定するためのツール。週単位で取組むことにより、年間52回の改善が図れる。数値のマネジメントは、月単位ではなく、週単位が基本となる。
*「Weekly_Sales_Report 」PDF

 

ウィークリータイムアクション(Weekly Time Action Planning):ウィークリーセールスレポートの計画と実績の分析に基づいて、計画を達成するためのアクションプラン(実行計画)を立てるためのツール。実行計画の内容について、再度認識すべき事は、計画を達成するための活動をいかにスケジュール化するか、時間を有効に活用して実行していくかがポイントとなる。
*「Weekly Time Action Planning」PDF 
*「タイムアクションプランの立て方」PDF

 

オペレーション(Operation):一般的には業務の運営や推進の意味に使われる。仕組みにおいては「原材料や労働力」を投入し「商品やサービス」を提供する全過程を指す。経営トップから現場クルーまで全員に浸透させるべきもの。マクドナルドは、自社オペレーション(Q.S.C)を世界に普及させた典型的成功例。オペレーションを決めたからといって、いつもその通りになるわけではない。マネジャー(店長)は店舗のオープンからクローズするまで、正しいオペレーション(QSC)を確実に提供することが責任となる。

 

「O.T.C」:「オペレーション・トレーニング・チェックリスト」の略。ステーション(店舗における作業の持ち場)ごとに作業の内容(作業基準・作業手順)が明確に示されているツール。マニュアルとチェックリストの機能を併せ持つツールであり、正しい仕事のやり方を完全に習得できたかを確認するツール。作業基準や作業手順が明確で、人によるバラツキをなくし標準化が実現する。パート・アルバイト各人の修得状況が、キャリアパスプランのランクアップや時給アップに連動する。

*「『O.T.C』フォーマット集(作成事例)」PDF
*「『O.T.C』とは何か」PDF
*「O.T.C』の使用方法と記入方法」PDF
*「『O.T.C』を活用したトレーニング方法」PDF

 

【カ 行】

カウンセリング:一般的には「個人の悩みや相談に乗り、助言すること」とされる。ピープルビジネスでは『アドバイスを求めている人が行動計画を立てるのに役立つことを目的としたポジティブな形のツーウェイコミュニケーション』と訳されている。主にパート・アルバイトに勤務状態や規則違反などの問題が起きた時にマネジャーが行なう。具体的には「遅刻を繰り返す」「身だしなみが悪い」「店舗のルールを守らない」「他のスタッフへの悪口雑言」など様々な問題発生時に速やかに行う。
*「カウンセリングとは何か?」マニュアルPDF
*<店長のための練習問題>4.「カウンセリング」PDF

 

カウンセリングの6ステップ:カウンセリングを行う際の、効果的な実施方法。手順。マネジャーは前日に入念に準備することも大切となる。実施は、静かな場所を確保して、1時間を限度として行う。

  • ステップ1:目的を述べる
  • ステップ2:問題点を説明する
  • ステップ3:相手の話を聞く
  • ステップ4:問題点に関して合意を得る
  • ステップ5:相手と一緒に解決策を決める 
  • ステップ6 相手にまとめさせる 

*「カウンセリング6ステップ」マニュアルPDF
*<店長のための練習問題>4.「カウンセリング」PDF

 

科学的管理法:フレデリック・テイラーによる、製造業の現場に近代化をもたらした著作。1911年刊行の復刻版。「法則を導くための五つのステップ」は、QSCに基づくオペレーション構築やマニュアル作成の教科書的な参考材料となる。

  • 第一ステップ ¨作業に非常に長けた人材を選り抜く
  • 第二ステップ ¨各人の操作や動作の基本的なものを把握する。
  • 第三ステップ ¨各基本動作の時間を計測し、短時間の方法を選ぶ。
  • 第四ステップ¨適切でない動作、時間がかる動作、役に立たない動作をすべて取りやめる。
  • 第五ステップ¨最も要領のよい、最適な動作だけをつなぎ合わせ、最善のツールを用意する。

*【新訳】科学的管理法 マネジメントの原点
フレデリック W.テイラー=著 抜粋PDF

 

キャリアパスプラン(職能階級制度):働く人が、何をすれば自分の「ランク(職位)」や「給与」が上がるのかを明確に図式化したもの。働く人の能力に応じて、「ランク(職位)」「仕事内容(職能)」「給与」を明確に規定し、それぞれの経験(キャリア)を道筋(パス)として、労使双方にわかるように示したもの。1人1人の欲求と能力のバランスを見ながら、常に仕事の具体的な目標を設定する。目標の達成度を評価し、ランクと給与に反映する仕組。個人ごとの多様なモチベーションに対応するように設計されている。パート・アルバイト(P/A)と正社員用のものがある。勤続年数に関係なく、職務遂行能力に応じて昇給・昇格する仕組み。当然、部下と上司の関係が逆転することもある。キャリアパスプランは、林先生がアメリカ型の「職能階級制度」を、日本人にわかりやすいように図式化したもの。

*「キャリアパスプランによる人財育成の考え方」PDF
*「パート・アルバイト・キャリアパスプラン」飲食店用 PDF
*介護事例「パート・アルバイト・キャリアパスプラン」 PDF
*「マネジャーキャリアパスプラン」サンプル PDF
介護事例「 マネジャーキャリアパスプラン」PDF

 

キャリアパスプランの目的:目的は以下の3つ。

 

「Q.S.C+Ⅴ」:QSCは、マクドナルド創業者レイ・クロックが提唱した顧客満足の概念。マクドナルドでは創業以来継承されている経営方針。Qは「品質(QUALITY)」Sは「サービス(SERVICE)」、Cは「清潔さ(CLEANLINESS)」の略となる。「クオリティ・サービス・クレンリネス」これらの3つが揃って、初めてお客は「価値(value)」バリューを感じるという考え方。現在のマクドナルドでは「Q.S.C&Ⅴ」と表記される。飲食業界の経営原則にもなっている。仕組みでは、QSCの測定値を売上に連動させて、パート・アルバイトからマネジャーに至るまでの評価項目になっている。
林先生は「Q.S.C+Ⅴ」の必要性について次のように解説している。『企業や店舗が成長し、売上や利益を上げていくためには、自社・自店舗のすばらしい「イメージ」をお客さまに伝える必要があります。その「イメージ」の源となるのが、私たちの提供する商品の「Quality(品質)」であり、また、そのものを手に入れる時に必ず経験する「Service(サービス)」であり、そしてその「Quality」や「Service」を受ける場所の「Cleanliness(清潔さ)」なのです。』
マニュアルには「QSCは、お客様からみた店舗のイメージであり、如何なるビジネスにも当てはまる最高のセールスツールである」とも書かれている。経営者の考える「経営理念」を具体化するために「経営方針」となる「Q.S.C+Ⅴ」を定義することが重要となる。

*「経営理念」「経営方針」作成サンプル PDF
*経営方針「Q.S.C+Ⅴ」作成モデルPDF
*私たちのイメージ「Q.S.C+Ⅴ」

「業績を上げられなければ無能に等しい」:林先生の言葉。どんなに学歴やキャリアがあっても、店舗のQSCや人財育成、売上・利益が上げられなければ、評価しないという考え方。林先生の人事評価制度マニュアルの記述「会社が実際に求めて評価したいのは結果である。すなわち成績である。高い能力をもっていても、成績が上がらなければ無能と等しい。」

 

勤務評価:一般的には管理者が部下の勤務態度や職務遂行責任の実施状況を評価することを指す。仕組みでは、キャリアパスプランにおける各人の勤務状況を評価する。正社員だけでなく、パート・アルバイトの一人ひとりに至るまで、評価面談を行い、昇給の査定根拠も明確にしてフィードバックする。

 

勤務評価システム:仕組みでは「勤務評価は重要なコミュニケーションツール」とされている。人財育成において勤務状態を改善する最高の機会。パート・アルバイトの場合は、年4回定期的に行うほか、問題発生時やランクアップの機会、離職しやすい時期にも行なう。正社員は人事評価として年3回(定期昇給1回、賞与評価2回)行なう。本来のキャリアパスプランでは、タイトルアップによる昇給が世界共通となるが、日本マクドナルドだけは、藤田田氏の要望により、賞与と定期昇給が設けられた。

*「パート・アルバイト勤務評価システム」(P/Aマネジメントマニュアル)PDF

 

勤務評価シート(通称「パフォーマンスレビュー・シート」):クルー(パート・アルバイト)用と正社員(マネジャー)用、スーパーバイザー(経営指導者)用がある。基本は手書きが絶対原則(パソコン入力は不可)。必ず現場オペレーションをトレーニングする上司が評価を与える。
*「パート・アルバイトパフォーマンスレビューシート」(一般) PDF
*「マネジャー・パフォーマンスレビューシート」(一般)PDF
*SⅤパフォーマンスレビューシート(全業種共通)PDF
*「クルーパフォーマンスレビューシート_(デイサービス事例)」PDF
*マネジャーパフォーマンスレビューシート(デイサービス事例)PDF

 

クオリティー(QUALITY):「Q.S.C+Ⅴ」における提供商品の「品質第一」を指す。食べ物であれば「新鮮さ」や「質と量」などで表される指標を数値化してマニュアル化することがポイント。競合に勝つための「QUALITY」を実現するために、五感で感じる「完成品基準」と、品質管理の「STEP(プロセス)」という2つの観点が必要となる。
*「QUALITYの観点」PDF

クルー:仕組みにおけるパート・アルバイトの総称。リーダーシップという船で一緒に働く「乗り組員」を指す。単に「パートさん」との呼称よりも、「クルーさん」と呼ぶ方が、一緒の船(チーム)に乗って貢献してくれる大切な存在であるとの思いも伝えやすい。

 

クレンリネス(CLEANLINESS):「Q.S.C+Ⅴ」における「清潔さ」を指す。店舗外観におけるクレンリネスは、店舗(企業)イメージを常に商圏に与え続ける。マクドナルド創業者レイ・クロックが顧客満足において最もこだわった分野。基準以下の店は即クローズ(閉店)にするほど重要視した。クレンリネスを実現するための2つの指標は「メンテナンスシステム」と「基準」となる。クレンリネスの「基準」は「グランドオープン」の状態を維持することであり、いかにグランドオープンの状態を維持するかがポイントとなる。クレンリネスは、心掛けの清掃ではなく、仕組み(システム)で維持していく。
*「CLEANLINESSの観点」PDF

 

経営理念:会社における経営哲学や社会的な存在価値を明文化したもの。従業員に伝え、現場に浸透させるもの。仕組みにおいては「経営理念」を実現する前提条件として、「経営方針」である「Q.S.C+Ⅴ」を具体化する。

*「経営理念」「経営方針」作成サンプル PDF

経営方針:「経営理念」を実現するための前提条件。経営方針を具体化するために自社にける「Q.S.C+Ⅴ」を定義する。わが社の目指すべき、顧客満足100%とは何かを言葉にして、現場のオペレーションにまで落とし込む。「FAST(素早く)」という言葉でれば、「商品をお客様に60秒以内に提供する」ことが具体的なオペレーションとなる。

*経営方針「Q.S.C+Ⅴ」作成モデルPDF

 

行動方針:会社の「経営理念」と「経営方針」である「Q.S.C+Ⅴ」を実現するために、働く全従業員に求める行動の指針。ビジネスマンとして「お客様は常に最優先にせよ( Customers be always first)」など、現場のオペレーションを行なう際の具体的な考え方。仕組みを導入する際は、自社向けに内容をカスタマイズせずに使用する。
参照:*「経営理念」「経営方針」作成サンプル PDF

 

ゴールデンルール:「自分が扱って欲しいように相手を扱う」の意味。パート・アルバイトに対するマネジャーの接し方の基本原則。行動の指針。語源は聖書の黄金律「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい(マタイによる福音書7章12節)」。仕組みには「プラチナルール(相手が扱われたいと思うように相手を扱う)」もある。
*<店長のための練習問題>1.「よい人間関係のスキル」PDF

 

コミュニケーション:仕組みでは「お互いの意思の確認・意思の伝達。お互いの考え方を交換すること。言葉だけに限らず、お互いの意思の疎通」を意味する。現場のモチベーションや生産性を向上させるためにマネジャーが行なう人間技術の一つとされる。無駄話や飲食を共にすることで親睦を図ることとは相違する。
*<店長のための練習問題>3.「コミュニケーション」PDF

 

コミュニケーションギャップ:情報が正しく伝わらない状態。マネジャーが部下に伝達しても、正しく仕事が行なわれないなど、様々な問題が発生する。

コミュニケーションプロセス・ダイヤグラム:人を動かすコミュニケーションの過程。

*「人を動かすコミュニケーションの過程」マニュアルPDF

 

【サ 行】

サービス(SERVICE):「Q.S.C+Ⅴ」における「良いサービス」を指す。Q.S.Cの中で最も影響力を持った分野とされている。一般的には、「お客様へのおもてなし」などと捉えられるが、仕組みにおいては、お客様に対する「時間」と「印象」の観点で定義する。お客様が注文して商品を手にするまでの時間。お客様が感じる店の雰囲気や、接客時の印象で観る。Q.S.Cの中で、最も技術を要し、レベルアップに時間が掛かる難易度が高い分野となる。
*「SERVICEの観点」PDF

 

3S主義(サンエス主義):チェーンオペレーションを成功に導く3つの原則。「標準化(Standard)」「単純化(Simple)」「専門化(Special)」。職人技や属人化しているビジネスを、パート・アルバイト化するために実行すべき取組み。マクドナルド兄弟は、経営するレストランのメニュー25種類から9種類に絞って標準化し、ハンバーガー専門のファストフード店を作った。

 

『社長力』=商品:社長自身が見つけた「商品」が、売上の90%を決めるという意味(残りの10%がQSC)。社長が見つけた「商品力」による「儲かる商売」がビジネス成功の大前提となる。経営の全責任を負う社長が決めた「商品」に対して、従業員は絶対に口出ししてはいけないと林先生は言われていた。林先生に新規事業を相談した際の第一声は「その商売は儲かりますか?」だった。

 

システム:自然とそうなる仕組み【習慣】を作ること。人財育成システム。「フランチャイズシステム」では、決められたオペレーションを忠実に実行することで、誰もがビジネスを成功させることができる。レイ・クロックはシステムを作るために1970年代当時で年間3億円の費用をかけており、現場で使用するマニュアル類は、7年から11年の実験・検証を経て作られた。

 

「C.S.R」:「カスタマーサティスファクションレポート」の略。「Q.S.C+Ⅴ」を測定する顧客満足レポート。お客様の満足を数値化することにより、現場の問題発見と改善を図るためのトレーニングツール。「C.S.R」の数値が売上数値に連動することが基本。マネジャーの勤務評価の一項目にもなる。現場をチェックするための道具ではない。作成する際は、専門用語を使わず、お客様視点で誰でも理解できる表現や用語を使用するのがポイントとなる。
*「CUSTOMER SATISFACTION REPORT」飲食店用PDF
*「C.S.R」介護版2023年PDF

 

失敗から学ぶ仕組み:林先生の言葉。ピープルビジネスの仕組みは「わざと失敗するように作られている」と言われていた。仕組みは、人間学に基づいて作られており、自らの考えて行動し、失敗することでマニュアルに立ち返り、素直に学ぶ姿勢が養われていく。新人マネジャーは、キャリアパスプランにおけるクルーの面接・採用・オリエンテーションなどを失敗することから学んでいく。脳科学的にも、失敗は最高の学習法ともいわれている。

 

シリアスオフェンセス(Serious Offenses):「重大な違反事項」を起こした社員に対するスーパーバイザーのための即行動計画。窃盗、重大な違反事項、不法・違法、ひどい不品行、中毒、会社規定事項の軽視と違反、不従順、反抗、ETCに対して、勤務停止又 は自宅待機処置を命じて、処置の正当性の評価、SVの判断基準の審査、全事実の調査を行なう。SⅤと統括SⅤとのレビュー後、復職OKまたはターミネーション(退職・解雇)となる。
*「重大な違反事項(Serious Offenses)」PDF

 

社内企業家:仕組みでは「店舗年間予算」を計画・立案して、+2%の精度で達成する社内企業家「スーパーバイザー」の育成を目的としている。そのためキャリアパスプランでは、パート・アルバイトとして入社した段階から経営者として育成する仕組みとなっている。林先生のSⅤテキストには「社内企業家育成体制の基盤作りとは予算管理と、予算計画執行の一致、経営レベルと運営レベルの一致、重要なポイントである。」と書かれている。

 

ジョブローテーション:一般的には「配置転換」と言われている。仕組みでの定義は、「店舗運営において、パート・アルバイトをトレーニング計画に基づき、担当の持ち場を変えること」を指す。全ての持ち場を経験することで、離職や仕事のマンネリ化を防止し、生産性を向上させる。パート・アルバイトのモチベーション向上にもなる。*参考:人事異動
*パート・アルバイト版「ジョブローテーションとは」PDF

 

時間のマトリックス:時間管理における4つの領域を表したもの。時間に関連する選択は、全てこの領域のいずれかに入る。どの領域に属するかを知ることにより、もっと適切な対応ができるようになる。マネジメントにおいては第2領域を行なうことが重要となる。日々、第一領域に追われるマネジャーは疲弊して限界を迎える。

 

自由:林先生は「私はマクドナルドで働いている時は本当に自由を感じていました」と言っていた。自由とは、「自分勝手に」「好き放題に」することではなく、「liberty」や「freedom」が語源となる、他の指図を受けずに『自ら(意思や考え方)』を、『行動の由(理由)』とすることを意味する。林先生の言う「自由」とは、仕組みにおける「権限移譲(エンパワーメント)」を指している。
*「エンパワーメント(EmpowermentEmpowerment)(力を与える = 権限委譲)」PDF

 

人事異動:業務内容や配置転換を指す。仕組みにおける人事異動の目的は3つ。①人財育成 ②不正の早期発見とその防止 ③癒着(業者、etc)と慣れ合いの防止。タイトルによってその目的が異なる。2ndおよび1st.アシスタントマネージャーは、同一店舗に1年6カ月以内の滞留が基本となる。数年間同じ店舗でのマネジャー滞留は、様々な問題の発生要因にもなる。
*「人事異動のガイドライン」PDF

 

「人事評価システムの作り方」:林俊範先生が、1991年から1年間に渡り、月刊「飲食店経営(商業界)」に連載した寄稿文。1971年、日本マクドナルドが創業期から「完全週休2日制」と「日本一の給与」を目指して、作った仕組みの考え方が書かれている。掲載当時、内容は難しすぎて、読者からの反響はなかったとのこと。スモールビジネスでも、一流企業に負けない高い給与を払うための賃金設計の概要が網羅されており、時代を越えて目指すべき人事制度のあるべき姿が書かれている。

*林先生原稿「人事評価システムの作り方」冒頭文(P12まで)PDF

 

「人格は変えられないが、行動は変えられる」:林先生の言葉。マニュアルには「人格・性格というのはすぐに変えることができませんが、行動そのものは変えることは可能です。それを実現するのがトレーニングなのです。」とある。林先生は、日本型経営によくみられる「精神論」や「士気高揚」による社員教育を極端に嫌われた。仕組みでは、パーソナリティ(人間性)「心構え、意欲、やる気、協調性、積極性」を変えるのではなく、職務遂行能力をトレーニングによって変えることに重点が置かれている。キャリアパスプランにおけるタイトルアップと共に、良いパーソナリティも自然と備わってくると言われていた。

 

スーパーバイザー:独立した権限を持って、5~7店舗を経営指導する経営指導者。担当店舗の売上・利益の数値責任者。職務遂行責任次のの3つ。「Ⅰ. 数店舗を担当し、売上と利益を増加させる。Ⅱ. 人財開発と指導に当たり、本社本部の条件を満たすレベルの優秀な人財を育成。Ⅲ. 店舗オペレーションレベルを上げるよう指導。」
*「スーパーバイザー店舗経営責任者」の権限・PDF
*「スーパーバイザーは独立した権限を持った経営指導者」PDF

 

スーパーバイジングシステム:スーパーバイザーによって、会社を守る仕組み。林先生のテキストの記述では「スーパーバイジングシステムとは、会社の経営方針を守り、会社の生命の源である人財開発機能と、プロフィット機能を実現するシステムである。社内企業家育成システムをスーパーバイジングシステムという。それを実践する人をスーパーバイザーという。」とある。
*「スーパーバイジングシステム解剖図」PDF

スウィングマネジャー(Swing Manager):パート・アルバイトであるクルーの最高ランク。正社員の店長に代わって、オープン(開店)からクローズ(閉店)までをコントロールする「時間帯責任者」。正社員とクルーの間をスウィング(Swing)して、 行ったり来たりする意味。正社員店長と同等の権限が与えられているが、クルーの採用や勤務評価、ワークスケジュール作成などの人事権だけは与えられないのが原則。スウィングマネジャーの育成で、社員が不在でも店舗を運営することが可能となる。

 

スタッフィング(STAFFING):店舗における「人財の確保」の意味。店長(MGR)が取組べき基本的な業務遂行責任。「利益のピラミッド経営法」における最下層。具体的は次の4項目を指す「適正人数の確保」「高質人財の確保」「人件費のコントロール」「プログレッシブアクション」。店長はまず、自店舗の部下となるクルー(パート・アルバイト)人員をコストをかけずにスタッフィングすることが重要な仕事となる。

スター(STAR):「Store Activities Representative」の略。通称“スター”と呼ばれる「お客様満足係り」。店舗活動の代表者。店長の右腕として、店内接客や地域のマーケティング活動を第一線で行なうパート・アルバイト。アメリカでは、単独で活動する店長以上の上級職となるが、日本では林先生がキャリアパスプランによってパート・アルバイト化した。

 

ステップ(STEP):実験・検証により導き出された正しいプロセス。忠実に実行することで、誰が行なってもよい結果を得ることができる。

 

ストレートマネジメント:優秀な人財をスカウトしたり、中途入社させたりする際の手法。どんなに優秀な人財でも、必ず「キャリアパスプラン」の最下層(マネジャートレーニー)からスタートして、現場作業および職務遂行責任を修得していくことが原則となる。たとえ将来の社長候補であっても、まず現場オペレーションに入って、上位クルーからトレーニングを受ける。過去の経歴やキャリアだけで中途採用者に役職を与えて失敗することを防止することができる。
*「マネジャーキャリアパスプラン」PDF

 

セーフティ&セキュリティ:「安全と保安」を意味する。店舗における事故や不正を防止するための取組み。仕組み上での最重要事項。「利益のピラミッド経営法」では、頂点に位置付けられている。店舗の大切な資産を守り、又、店内で起こりうる事故を未然に防ぐ為のプログラムとなっている。お客様や従業員に安全な労働環境を作り、安心を与える為の概念。パート・アルバイトのリーダー以上が学ぶ内容。プログラムは、アメリカFBI(連邦捜査局)出身者が作ったと言われている。

 

セルフトレーニング:自分自身で自発的に行うトレーニング。ピープルビジネスでは「自己啓発」を指す。自分の時間を使って「トレーニングプログラム」や「マニュアル」から自分自身で学ぶ学習法。

 

組織図:店舗および会社組織の内部構造を図式化したもの。林先生の経営指導は、必ず組織図の作成から始まる。ピープルビジネスの組織図は、氏名を記入することが原則。人員がいない場合は、空欄にするか、既存の人が兼務する形で同じ名前を入れていく。小さな会社の時から、あるべき形の組織図を使用する。毎年、更新するたびに次第に名前の数が増えていく。

*店舗組織図PDF
*会社組織図PDF

 

【タ 行】

タイムマネジメント:一般的には「時間管理」を指す。ピープルビジネスでは、目標管理における重要な手法の1つとされる。定義は「タイムマネジメントは、限られた時間を最大限に、そして最も効果的に使う事が目的」となる。毎日最も重要な目標を達成することを最優先にスタートし、優先順位の高いものから仕事を進めていくならば、どのような仕事もうまく進めていくことができる。*参考「時間のマトリックス」

 

タイムアクションプランニング(TIME ACTION PLANNING): 自分自身で計画を設定し、自分自身で達成する 〔 行動 = 活動 〕。時間の条件の中で、スケジュール化をすることを言う。自分自身の勤務時間内で正しく計画することが重要。

*「タイムアクションプランの立て方_」PDF

 

ターゲットセレクション:パート・アルバイトから高質な人財を採用する活動。スーパーバイザーがパート・アルバイト店長の育成を積極的に推進させ、人財を確保するように努める。店長になれるようなパート・アルバイトが入った時点で、資質を見抜いて採用を促進する。30日間のオンザジョブ試験で最終決定する。
*「ターゲットセレクション採用プロセス」PDF

 

正しい:誤りがない意味。マニュアルには「正しい知識」「正しい仕事のやり方」「正しいトレーニング」など多々使われる。仕組みにおいては、個人的な意見ではなく、実験・検証に基づいて導き出された、良い結果を生み出す事柄やプロセスを指す。

 

朝礼はいらない:林先生の言葉。朝礼をやるために、同じ時間に皆がそろって出社することが、現場の生産性を落として、長時間労働の原因にもなると。各人に伝えたいことは、「ワークスケジュール」を使ってマネジャーがマンツーマンで伝えることが大切とも言われていた。朝礼のない、五月雨方式の出社形態は、無駄がなくなり、良いワーキングコンディション(労働環境)実現の要となる。

 

同一労働・同一賃金:同一企業において、正社員と非正規雇用者(パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指すもの。同一の仕事をしていれば、同一の賃金を支給するという考え方。キャリアパスプランでは、マネジャー(正社員)クルー(パート・アルバイト)は、職務遂行責任が明確に相違している。マネジャーが現場オペレーションに入っていても、お互いの役割が双方に明確なため、問題になることはない。むしろ、マネジャーが現場作業だけに従事することは「マネジャーはワーカー(労働者)になるな」「Ⅾon’t work as a crew(クルーのように働くな!)」という言葉で戒められている。

 

トレーニング:一般的には「教育・訓練」の解釈となるが、ピープルビジネスでは「できないことをできるようにする1つの方法であり、できないことをできるようにすること」を指す。定義は次の通り。「トレーニングとは、あなたのもとで働く人が、現在仕事している状態と、あなたが期待している仕事のレベルとのギャップがある時に、あなたの期待しているレベル迄もってくる教育指導法のこと」。一般的な「社員教育」とは異なる

 

トレーニングの種類:次の3種類がある。ピープルビジネスにおいて重視するのは、③セルフトレーニングであり、最も効果的とされている。 ①オンザジョブトレーニング··· 現場での実技訓練(O.J.T)  ②オフザジョブトレーニング··· 現場から離れた理論訓練(OFF.J.T)③セルフトレーニング··· 自己啓発

 

トレーニングの4ステップ:部下にトレーニングを施す際の正しい手順。どれが欠けても効果は得られないので、ステップ1から4を正確に行うことが重要となる。

  • ステップ1:準備・・・マニュアルや道具などを準備する。
  • ステップ2:提示・・・指導役が模範を示して、具体的に説明する。
  • ステップ3:実行・・・指導役のフォローの基で、ツールに従い実行する。
  • ステップ4:フォロー・・・新人の実行内容について良い点、悪い点を伝える。

 

トレーニングコミュニケーション:

「トレーニングができない人をリーダーにしてはいけない」:林俊範先生の言葉。ピープルビジネスには、人をトレーニングすることができない人をリーダーにしてはいけないという大原則がある。トレーニングできない人が専門技術や勤続年数によって店長(マネジャー)となり、離職やクレームなどの問題が多発する事例は多い。

 


【ナ 行】

ネームバッジシステム(名札):店舗のスタッフ1人1人のネームバッジに明確なランクを認識させることにより、モチベーションを与える仕組み。パート・アルバイト同士でも、お互いのランクや業務修得の度合いがわかることにより、人間関係の摩擦も回避できる。自分の位置づけやプライドも醸成される。マクドナルドのネームバッジは、退職後も記念の宝物にしている人も多い。

*林先生のアメリカ研修時代のネームバッジ

*ネームバッジシステムPDF

【ハ 行】

林 俊範(はやしとしのり):元日本マクドナルド初代統括スーパーバイザー。JFCピープルビジネススクール学長。日本マクドナルド創業者・藤田田氏の右腕として、アメリカ・ハンバーガー大学に学び、銀座1号店立ち上げから1千億企業に成長するまでのオペレーションシステムの基礎を築く。退職後、JFCピープル・ビジネス・スクール学長として中小企業にピープルビジネス「利益のピラミッド経営法」を体系化して伝え続けた。

 

「繫栄実現の経営の法則」:林俊範先生がマクドナルドで学んだピープルビジネスの仕組みを通して、スモールビジネスが繁栄するための法則を体系化したもの。法則とは100%を指し、時代に関係なく普遍であると言われていた。マクドナルド兄弟の個人店が、ファストフード店に変革し、レイ・クロックが確立したフランチャイズシステムにより、世界中で繁栄を続けるスモールビジネスとなったプロセスが体系化されている。属人的な個店経営を近代化経営に「リエンジニアリング」して、パート・アルバイト主力の「低投資・高効率の変動費型経営構造」の実現を目的とする。どんなビジネスにも応用が可能で、一業種で実行できるのは一人だと言われていた。

*「繁栄実現の経営の法則 」PDF

パート・アルバイト:一般的には「パートタイム労働者」「短時間労働者」を指す。仕組みにおいては「クルー」と呼び、基本的に週20~30時間以内で働く人を指す。主に現場作業に従事し、熟練者は正社員以上の生産性を誇る。店舗における総労働時間の中で、パート・アルバイトの占める労働時間は80%以上を目指すべきとされている。現場がパート・アルバイト主力となることで人件費の「変動費化経営構造」が実現する。

*「利自即利他」意味(Advanced Supervisor Handbook)

80対20の法則(パレートの法則)」:少数の原因が結果の大部分に影響する法則。少数の原因に集中することで大きな成果をあげる考え方。19世紀の経済学者ウイルフレド・パレートの分析による、人口の20%が国富の80%を所有する統計が発端。仕組みの様々な部分にも法則が応用されている。メニュー構成では、売上の80%以上に影響を与える品目の20%のものに資源を集中させる。店舗の適正総労働時間比率も、クルー80%以上、に対してマネジャーは20%以下が原則。現場業務では、調理師や店長がしていた業務の80%をパート・アルバイトに権限委譲した。店長は従来20%以下だったマネジメント業務へ集中し、生産性を数倍にすることが可能となった。

 

ピーエーリーダー(P/Aリーダー):パート・アルバイト・キャリアパスプランにおける最高ランクであるスィングマネジャー(時間帯店長)の意味。社員が不在でも現場を運営するP/Aリーダーが育成させることで「低投資・高効率の変動費型経営構造」が実現する。仕組みにおけるP/Aリーダーは「競合他社が絶対に育成不可能とさえ言われるほどの能力のレベル差がある」と林先生は言われていた。

 

P/Lコントロールシート:店舗単位の損益計算書(The Profit and Loss Statements)。店舗における売上・経費・利益を項目ごとの数値を記入したシート。1ヶ月間の店舗運営の結果の報告書となる。店長は、当月の実績P/Lを見て、前月作成した計画P/Lとの比較をして、差異分析能力を身に着ける。マネジャーは計画値を±5%以内で達成することを目標とする。
*P/Lシート全体図・PDF
*P/Lコントロールシート基本形・PDF
*P/Lコントロールシート_(介護版)事例・PDF
*P Lコントロールシート勘定科目説明マニュアル

 

ブレイク・イーブン・セールス(B.E.S):損益分岐点売上の略。新店舗をグランドオープンした際は、「B.E.S」を3か月で越えることが目安とされている。もし、クリアできなければクローズ(閉店)すると林先生は言われていた。SⅤと新任店長は、BESをクリアするために全力を尽くさねばならない。1Stアシスタントマネージャーの昇格チェックリストには、「店舗のP/Lを作成でき、B-E-S-P (Break Even Sales Point・・・損益分岐点)を十分に理解していること。」とある。

 

プログレッシブアクション(Progressive Action):直訳は「進歩的な活動」となるが、仕組みではSⅤによる勤務不良マネジャーを、再生させるための活動を指す。勤務評価の際に、各ランクごとの最低基準を下回った場合に、カウンセリングを行なう(参照:賞与配分表)。カウンセリングで不可とSⅤが判断した場合に、プログレッシブアクションがスタートする。30日単位の改善行動期間を設けて、SⅤのレビュー(評価)によって可否を決定する。最終的に勤務不良が直らない場合は「ターミネーション(退職への道)」となる。解雇ではない。最終的に行動修正できない場合は、本人から退職を申し出るが、ほとんどの場合、本人が納得して感謝の態度を示すこともある。
*「SⅤのプログレッシブアクション」PDF
*プログレッシブアクション参照「賞与配分表」PDF

 

不思議な国ニッポン:講義中に林先生がよく使われていた言葉。「日本という人間を幸せにしないシステム」とも。社員教育は精神論が中心で、忠誠を誓う人間が優先して評価される雇用制度に対しての言葉。

分解すれば難しくない:レイ・クロックの言葉。

変動費型経営構造:林先生の「繫栄実現の経営の法則」における特徴的なローコストオペレーション。仕組みの特徴は「固定費」に分類される人件費を「変動費化」する点にある。現場の総労働時間数における80%以上をパート・アルバイト化し、ピークとスローに合わせて、計画的に人員投入する。売れる時に徹底的に売り尽くし、スロータイムは無駄のない人員配置を行なう。マネジャーは、店舗損益計算書(P/Lコントロールシート)を基に、現場の人件費だけでなく、原材料費や光熱費などのあらゆる経費を計画して、コントロールすることが重要な職務となる。
*「繁栄実現の経営の法則 」PDF

 

「報連相(ホウレンソウ)」はしなくていい:林先生の言葉。権限移譲の組織を作る上で、ホウレンソウは現場の生産性を落として、考えない指示待ち体質を作ると。各人が主体的に考えて判断し、行動に責任を持つ組織を作るために、ホウレンソウはなくした方がいいと言われていた。
*参照:「エンパワーメント( 権限委譲)」PDF

【マ 行】

マネジャーの人間技術:「コミュニケーション」「モチベーション」「カウンセリング」を指す。

 

マネジメントチーム:キャリアパスプランにおいてマネジメントに参加するメンバーを指す。正社員のマネジャーだけでなく、パート・アルバイトのトレーナー以上の職位もマネジメントチームに含まれる。

マニュアル:一般的は作業手順書の意味と捉えられる。林先生のテキストでは「マニュアルとは、会社の経営理念、ビジョン、経営戦略、経営方針等の諸政策を達成するために形成された、チェーン・オペレーション・システムを遂行し、お客様に最高の商品やサービスを提供し、利潤経営+幸福感=信頼経営を実現するための一貫した法則である。」とある。経営の経験のない人であっても、マニュアルを忠実に実行することで、不動の心で困難を乗り越えていく力となる。レイ・クロックは「マクドナルドで成功したければ、マニュアルを熟知しなさい」と言い続けた。

 

「面接に遅刻した人を採用してはいけない」:林先生の言葉。採用面接に遅刻した人は、いかなる理由があっても採用してはいけないという原則がある。人手不足で悩むマネジャーは、この原則を知っていても、遅刻した人を採用するケースはよくある。しかし、ほとんどが時期を置かずに退職したり、問題を起こしたりする。たとえ続いたしても、成長して人財になった人を20年来、見たことはない。

 

モチベーション:人間が行動を起こすきっかけ。動機付け。個人によって刺激は異なる。キャリアパスプランの仕組みでは、承認の欲求や挑戦したい欲求、成長の欲求、お金に対する欲求など、それぞれ異なる刺激によりモチベーションが与えられるように作られている。
*<店長のための練習問題>2.「モチベーション」PDF

 

【ヤ 行】

「有能な人より、有益な人を育てる」:林先生の言葉。仕組みでは、突出した有能な人財を求めるのではなく、普通の人を会社にとって有益な人財に育成することを目指している。マニュアルによくある林先生の記述「会社が実際に求めて評価したいのは結果である。すなわち成績である。高い能力をもっていても、成績が上がらなければ無能と等しい。」

 

【ラ 行】

利益のピラミッド経営法:スモールビジネスの経営原則であるスーパーバイジングシステムを用いて、「売上の向上」と「コストの削減」を同時に実現する経営法。現場には絶えずチャレンジする企業風土が醸成される。マネジャー(店長)はSⅤの経営指導を受けて、利益のピラミッドの6階層に取り組みことで、売上増大とコスト削減による利益の確保が実現する。店舗運営の4大目的「①人 財の育成 ②Q.S.C の維持・向上 ③売上の増大 ④適正利益の確保」を実践することが、店舗マネジャーの業務遂行責任となる。

*「利益のピラミッド経営法」PDF

ビジネスフォーマット:業種・業態の意味。

ビジネスフォーマット・トータルマネジメントシステム:
ビジネスを設計する際に必要なノウハウ分類し、更に構築のプロセスを明確化し、いかなるビジネスにも対応できるよう具体化したシステムで、新規事業やリエンジニアリング
においてのビジネス設計にも活用できるように開発されて
います。
また、システム構築の前提条件として、経営方針の
具体化が必要となります。そして、その具体化された 経
営方針に全てのシステムを連動させて、具体的に 実
現するための手法等を開発、導入し、システムの構築を
行います。

Leaders are Always in Front「首将、常に全軍の先頭にあり」:日本マクドナルド創業者・藤田田の言葉。林先生のテキストの冒頭にも必ず入れられていた言葉で、「自らを磨き、他を導く(利自即利他)」リーダーの姿勢を指している。

 

リクルート活動の6ステップ:店舗マネジャー(店長)が、パート・アルバイトをリクルートする際の手順。費用をかけずに人材確保する職務遂行責任となる。ステップ通りに行わなければ、時間と費用が無駄になる。

  • ステップ1:店舗イメージ
  • ステップ2:P/A紹介制度
  • ステップ3:お客様からの採用
  • ステップ4:コミュニティとのコンタクト
  • ステップ5:コミュニティで行なう広告
  • ステップ6:商圏内プログラム

*パート ・アルバイト 「リクルート6ステップ」PDF 

 

「利自即利他(りじそくりた)」:林先生による「リーダーシップ」の日本語訳。スーパーバイザーの「自分を磨きながら他の人々をも導いていく」姿勢を表す。本来は仏教用語。

*「利自即利他」(Advanced Supervisor Handbook)PDF

 

労働基準法:全労働者の適切な雇用を守るための法律。労働条件の原則や最低基準が定められている。正社員だけでなく短時間労働者(パートアルバイト)にも適用される。企業規模に関係なく、従業員数が少ないスモールビジネスであっても、違反行為には罰則が適用される。逆に労基法を遵守することは、人財獲得に有効なワーキングコンディション(労働環境)につながる。キャリアパスプランでは、スイングマネジャー(パート・アルバイト店長)の職位から、知識として労基法を学ぶ。

 

労働環境:仕組みでは従業員の働きやすさを指す。具体的には、自分で働く労働時間を決めて、希望するシフトもマネジャーや上司と相談の上、決定できる。よい労働環境とよい給与は、高質人財を獲得するために必要不可欠な条件となる。日本マクドナルドは1970年代の創業時から「年間労働時間1800時間」「完全週休2日制」を目指して仕組みを構築したと林先生は言われていた。

*参照:「ワーキングコンディション」「希望可能シフト」

【ワ 行】

ワークスケジュール(Work・Schedule):一般的には「稼働計画表」の意味だが、仕組みでは「店を動かす唯一の武器」とされている。1日の売上計画から、時間帯ごとの売上・客数を計画し、人員適正配置を決定するツール。シフト表とは異なる。店長(MGR)のワークスケジュール作成技術によって、売上・人件費・利益は大きく変わる。QSCのハイレベルな維持のための3つの機能「スケジューリング(計画性と実行)」「ポジショニング(人事の適正配置・教育)」「プロダクティビティ(経営効率と生産効率の追求)」がある。一人当たりの売上と労働生産性を向上させて「変動費化経営構造」を実現するための道具。
* 「WorkSchedule アメリカ原本」PDF
*基本形「モデルワークスケジュール」PDF
*「ワークスケジュールの作成10ステップ」PDF

ワーキングコンディション:「労働環境」の意味。仕組みでは「働きやすい労働環境」魅力的な「労働条件」を指す。有益なパート・アルバイト人財を獲得するための社長の専権事項。*参照:「労働環境」

ワンディタイムアクション(1DAY TIME ACTION):一日を「PLAN(計画)」と「ACTUAL(実績)」に分けて記入するシート。時間管理の基本を体得する技術。残業がなくならない社員や新入社員のトレーニングツール。*「1DAY TIME ACTION PLANNING」PDF